ARENA Internet Mailer 1.0 β5  究極のインターネット・メーラ、大ブレイクなるか?

 (コメント)使いやすいメーラってなかなか出会えないけど、今度こそ!と高まる期待。β5版を使った感想です。

8月26日(水)

そろそろ浮気をやめて一つに絞った方がいいよな。

メーラって目的は単純なはずなんだけど、なかなかこれだ!っていう1本に出会えない。日常で最も使う機会の多いアプリケーションだけに、中途半端な妥協はしたくない。ちょっと前に、Eudora Pro4.0βを試してみたけど、どうも進化の方向が僕が望んでいるものとは食い違っている気がして、結局、それまで使ってたクラリスメールLiteに戻してしまった。さて、最近のMacのメーラ達の勢力図を整理するとこんな感じだろうか。

Eudora Pro なぜか、ちゃっかり定番の地位に居すわっている。フリーウェアのユーザが多かったせいか?良くも悪くもその後のメーラの指標となったソフト。
4.0ではツールバーを積極的に取り入れているが、これじゃ増築を重ねた違法建築の温泉旅館?
クラリスメール(含むLite) 製品版なら機能に過不足なし。ただし、クラリスブランドにしてはインタフェースがこなれていない。2.0のツールバーも付け足しっぽいよな...
Netscape Mail(コミュニケータのコンポーネント) タダにしては良い出来か。ウィンドウ3分割方式は、ちょっと息苦しくなる。アドレス帳に記入できる情報が多いのは○。ブラウザと一緒にご臨終になるのは恐怖?
Outlook Express(旧Internet Mail and News) Netscape対抗ソフトらしく、同様のウィンドウ3分割方式。機能的には可もなく不可もなくといったところか。HTMLメールがデフォルト設定されてるのは×。
Post Pet アイディア勝負で影のNo.1ソフト?PostPetユーザ以外にはゴミでしかないバイナリーファイルをネット上にまき散らす点は×。シンプルなインタフェースは○ながら、オフィスで使うのはちと辛い。

こうして見ると、どうもMacのメーラ達は、フリーウェア版Eudoraの呪縛から逃れきってない気がする。手紙、受信箱、送信箱、アドレス帳...GUIを謳うOSが「デスクトップとフォルダ」というメタファーから離れられないのと同様に、メーラ達もその固定観念から離れることは無理なんだろうか。

どのソフトも、受信箱や送信箱といった概念を分かりやすくしようと努力はしているんだけど、どうもインタフェースとしてしっくり来ていない。これまでにない独創的なインタフェースを持ったメーラが登場しないのは、ソフトベンダーがメーラでは儲からないと気付き開発に力を入れなくなったせいなのか?

それに、いまとなってはMSとNetscapeがタダでメーラをばらまいている以上、よほど個性がないと商品として生き残ることは難しいはず。小手先のインタフェースでシェアを取れるほど甘くない、っていうのはどのベンダーも十分分かってるんだろう。しかし、ようやくこの膠着状態に風穴を開けてくれそうな、活きのいい、そして勇敢な(!)メーラが登場したわけです。

 

シンプルな形にしてみたTOPウィンドウ(メールボックスを自由に配列できる)。

というわけで、ここからがARENAのお話なんだけど、さすがに満を持して登場しただけあって、インタフェースがこなれてるな、ってのが第一印象。ツールバーやダイアログのデザインセンスもさることながら、このソフトの一番の売りはTopと呼ばれるメイン画面にあると見た。

このTop画面、さっき触れた他のメーラが抱えていたインタフェースの問題をうまく解決してくれてる。送信箱や受信箱、整理用のメールボックスが32×32のアイコンの形で格納されており、配列を変えたり、フォルダに入れて整理したり、エイリアスを作る・ラベルを付けるといったFinderライクな使い方ができる(左画面)。ちなみに、メールを受信したときはメールボックスの文字がBoldになる。

この辺、最大のライバルであるEudoraの弱点をうまく突いてるなって感じがする。Eudoraのインタフェースの弱いところは、メールボックスやごみ箱という「入れ物」に実体がない点だろう。ごみ箱に入れるってよりも、ごみ用Windowに移動するという感覚が強くて、GUIの心地よさが死んでしまってる。クラリスメールやNetscape Mailでは、このTop画面に相当するウィンドウは2分割・3分割画面の一つを割り当てられているだけで、自由度に乏しかった。

ただしARENAでは、Top画面に全権を委任してる弊害として、Topを表示していないとメールボックスの中身を表示させることができない問題がある。ユーザのレベルに合わせた使い方ができる点をセールスポイントにするなら、ショートカットで受信箱や送信箱の中身を直接表示できるようにした方が良いと思うのだが。ここらへんは作者がGUIにこだわった結果ということなのだろうか。

各メールボックスを開いたときの操作感覚は特に不満なし。ツールバーのアイコンデザインもgoodです(下画面)

↑メールはこういう2分割画面か、Eudora方式の分割なし方式どちらでも設定できる。

とにかくTOP画面をカスタマイズするのだ!

ARENAを使いこなすなら、やはりTop画面にこだわってみたい。ARENAではTop画面の背景を自分好みのものに変更できる(ポストペットでいう部屋の模様替えみたいなものか?)。あと、デフォルトでInbox、Outbox、ドラフトとか命名されている各ボックス類も変更できるから、自分で分かりやすい名前に変えちゃえばいい。

世間の人はどうかは知らないが、僕は送信箱、送信済み、受信箱と言ったキャラクター分けがさっぱり理解できない。ここいら、各アプリケーションごとに位置づけが微妙に異なっているが、もうちょっと分かりやすい表現はないものか。

そこで、まず実験的に改造してみたのが次の画面。

こないだTrash-Canコーナーで作ったデスクトップ画面の焼き直しだけど、

◎これから出すメール
◎受け取ったメール
◎過去の記録
 の3つのグループに分けてみた。

ただ、下書きトレイ(ドラフト)と送信箱は、中に未送信のメールが入っていても文字がBoldにならない。この点は何とかして欲しい気がする。

いいところは他にもあるぞ

ARENAのその他の特長は公式ホームページ(http://www.reis.co.jp/arena/)でチュートリアルを見てもらった方が早いかも。取りあえず、僕が気に入った点を上げてみると...

  • メールボックスごとに着信表示をカスタマイズできる。たとえば、友達からのメールはアイコン点滅、仕事メールはビープ音+ダイアログって感じ。
  • メールボックスごとにリスト表示の順番やツールバー表示等の外観を変更できる。(Eudoraだと、一つのウィンドウでリスト表示方法を変更すると、他のウィンドウの表示もすべて変わってしまう)
  • Winから送られてきた添付ファイル、ちゃんとデコードできる!(クラリスメールLiteはまずダメな場合が多い)
  • メール送信時に、アドレス帳に登録した相手をポップアップメニューで選べる。

不満な点もあるんだけどね



※β版には不具合もあるようなので、使用の際は
公式ホームページの注意を良く読んで使いましょう。

まだβ版のソフトにあれこれ注文をつけるのも何なんだけど、基本設計について不満な点は今のところこんな感じ。

  • 添付ファイルのエンコード・デコードが死ぬほど遅い。(5MBもあるようなファイルを添付でやり取りする僕がいけないのか?)
  • メールアドレス(ニックネーム)を3文字くらい入力すれば後はアプリが補完してくれる機能を持っているんだけど、Command+,でキャッシュからのアドレス補完、Command+/でニックネーム補完っていう使い分けが結構ややこしい。
  • ニックネームを入力したときに、メールアドレスが表示されないのでちょっと不安。間違えたときもそのままアドレスなしで送信されてしまうようだ。
  • 「送信済み」「ドラフト(書きかけ)」のボックスはOutBoxの配下にあって移動できない。Top画面に出せるようにした方が自由度があっていいんでは?
  • 添付ファイルのドロップ用ウィンドウが開きっぱなしにできないのが辛い。あと、送られてきたメールを開いた状態で、添付有りが分かりにくい。
  • 仮想メモリON時でも推奨割当メモリが4MBは、メーラにしてはでかすぎる。

とまあ、不満もあるけど、現状ではARENA Internet Mailerが僕の理想に一番近いメーラだと思う。

ただしARENAが、過去のメーラが引きずってきた「受信箱」「送信箱」と言った曖昧な概念を明解なインタフェースによって解決できたか?というと、ちょっと不満が残る。アイコンになったから、Finderライクになったからいいじゃん、って言われれば確かにそうなんだけど、何か釈然としないものが残る。

これまでのメーラから乗り換える人には文句なしに勧められるソフトなんだけど、これから初めて電子メールやろうっていうビギナーにはまだまだ敷居が高いかも知れん。そう言う意味では、玄人受けするメーラであることは間違いないかもね。

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